上野千鶴子先生

先日、社会学者の上野千鶴子先生の発言を目にしました。平成31年度の東大の入学式で述べた内容です。

どれも、素晴らしい内容です。その中で、ぼくの目に飛び込んできたのは、こんな内容でした。

「恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶(おとし)めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください」と。

ぼくには、恵まれた環境も、恵まれた能力もありません。でも、この言葉を目にしたときに、ある人物を思い出しました。

それは、空海こと弘法大師です。まさに恵まれたその能力は、超人的です。そして、自分のためというより、世のために、人のために、という生きざまは、まさに上野先生が言っていることを実践した人でした。

一つ例を挙げます。空海が修復した満濃池(まんのういけ)です。

前テレビで、土木事業にくわしい人がこんなことを言ってました。

満濃池を修復するためには、今の技術力や土木機械を使っても大変です。当時の土木技術だけでは完成させるのが難しかっただろう。でも、数千人規模で工事にあたる人々の心をまとめることができたから完成したのだろう、と。

恵まれた能力はないですが、人々を貶めることだけは、してはいけないな、と思ったぼくでした。